不完全きのこ

2023年の詩

体を成す影

Shadow with no name, rain that cannot be held1

顔の無い風が
抱く事も無い雨を横目に
思い出す事の無い
名前を憂う

確かに其処に在ったのに
消えてしまえば
誰も知らない
そんな流れに抗うように
匂いを音を温もりを
纏った影が体を成す

言葉に残っていなくとも
至る所で何かの記憶が
蠢いている

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2023.03.17 ▲

爛爛と

詩 | 小説・文学 | 2023年の詩

爛爛と

A red-eyed puppy with no tail asks him (Yes, yes, this is another3

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満月は今もそこに在る
何処に逃げても
距離が縮まる事も無く

円らな瞳が生えていたんだ
背中を焼かれる事も厭わず
引き延ばされる時の隙間で
爛爛と身を継ぎ合わせ

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2023.03.13 ▲

苔に紛れて

一輪の首が転がって
冷たい路面に陽が伸びる
痙攣するのは山々だ
体ではなく
亀裂に溜まれ
卑劣に染まれ
繁茂しながら苔に紛れて
今日も私は言葉を失う
生きているのに
活かしきれずに

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2023.03.12 ▲

還る道中

詩 | 小説・文学 | 2023年の詩

還る道中

Cursed dolls Ruins of Japanese temples,oil paint1

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興味の外から掴まれる
意識そのもの
景色諸共
積み上がっていたものが
形を変えて暮らしを飲み込む
屍の上に立っていたんだ
生まれた時から

木々がくすんで霧と媾う
裏葉色へと還る道中

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2023.03.11 ▲

偽り移ろう

見返る場所はそれぞれに
黒塗りの窓から
巣立って着飾る箱の街
焼香から立ち昇れ
希望に満ちた翌を見据えて
亡き者の背を乗り越えて行く
無き物が
まるで有るかのように
憑き物が
其処で果てたかのように
各種各様
偽り移ろう脈打つ限りは

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かさつく瞳

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かさつく瞳

Cursed picture that will kill you if you look at it oil paint2

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境界線なぞ弾いてしまえ
心も体も全てが等しく
収まる以前に

幸福がまた交わっている
苦しみを薄く磨り潰す為
悲しみを軽く受け取れるよう

手と手が連なり肉を成す
皆の身体だ
口角は常に上がっているのに
開いた瞳はかさついている
笑えないのだ今はまだ
安らぎはいつもそこに在るのに

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2023.03.09 ▲

未だ地に

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未だ地に

The boy thinks that he can make his own wings with his imagination, and when he sits on the smallest cloud and looks down at the smeared earth, he can only sigh2

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切断面から
羽根を生やそう
温もりが
消えて仕舞わぬ内に
鋭利な刃物に屈せぬ様に

抽象的な被害者は
人にも鳥にも成れやしないさ
加害者が遥か眼下にあっても
未だ地に足を着けている
既に何処でも
飛んで行く事が出来るのに

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2023.03.02 ▲

横切ったもの

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横切ったもの

The face of the moon in the jet-black dark night2

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鮮明に肌は晒されて
球体である意味を見失う
行方知れずだ
気付いた時には

こいつは覗き穴ではない
塞いでいたんだ
闇夜を視線が舐めない様に
己の形を悟られぬよう

横切ったのは何処のどいつだ
握り締めた指の先から
一節二節
繋がり断たれて
出来損ないの陽が土に染む

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2023.03.01 ▲

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