2016年の詩不完全きのこ

味を知るのは誰なのか
飢えるばかりの住人に
突き付けられた
この一石

鳥は飛ぶのを
やめたのだろうか
はたまた
飛べないだけなのか

水飛沫を上げ留まる意図は
きっと言葉を繋ぐため

花吹雪は舞う
くぐもる糸を手繰るため
深さを測る術も持たずに

老いはただ
嘴を挿す羽根を尻目に
四季の節目へ

空虚な朝だ今日も一日
真っ暗な沼に魚を求めて
餌の無い針を垂らし続ける

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2016.11.27 ▲

絡む戦慄

2016年の詩

絡む戦慄

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一纏めに浸け置いて
誰もが姿を見失う

陽向の匂いは何処へやら
舞い降りた雪
嵩む皺寄せ

葡萄のえぐ味を
知らないかい

問い合わせども
雲は散らない

落ちて行くには
若過ぎたのか

染み付いた声へ
絡む戦慄
過去の旋律
真に受けながら

2016.11.24 ▲

聖邪の更新

晴天に溶け込んだ
曇天の籠へ迎え入れ
白熱灯は
己が寿命に咽び泣く

澄んだ心の淀みを一つ
鍋の内へと
摘まみ入れてはくれまいか

笑顔のままで凍り付く
ラベルは仮面の下にある

綺麗な群れさ
裏を捲らば

くすんだ太陽
くすねた細胞取り仕切り
吹き上げた声聖邪の更新

2016.11.23 ▲

首を紡いで

綴らぬ事に
浴びせる者すら見付からず
脇差す傘は渇きを隠せぬ

風が靡けば
木々はざわめく

そんな土台も未完の侭に
崩れぬ様に地を踏み締める
首を紡いで

2016.11.18 ▲

傾いた天秤

黙して何も示さず
悟られぬよう

ほら担いだ剣を
降り下ろし
正した遺体が積み上がる

見て見ぬふりしか
あるまいさ

もう息を
する事すらも差し障る

2016.11.11 ▲

角は出せども

過ぎ去って猶空回る
車輪の囁き四方の迎合

阿附脈々と手を列ね
己が基軸を誤認するのは
とても立派な事なのですね

判を押せ左へ倣え
整合性など触れる余地無く

肉の解体欲の懐胎
此処に有るのは燦然で
其処に有るのは賎陋だ

ほらごらん
目隠し鬼の金棒さ

飽くる事無き傀儡が囀り
高い高いと地べたで善がる
旧態依然のこの痴れ事

おまえのあたまはどこにある
角は出せども槍を研かぬ
目玉を失くした蝸牛

2016.11.07 ▲

穂先は知らない

草葉の陰より手を伸ばす
潰えぬ残響
絡まぬ指先
真綿で絞めた空の鬱血

結晶が零れ落ち
殺生が茹だれ舞う

車軸を歪めて
何処に往くのか
理不尽に埋められた
穂先は知らない

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2016.11.06 ▲

果ての解