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足りない記憶に阻まれた
透いた遠景
悔いた関係

まじないなんぞに
杭を打てるか
垂直と
垂直の合間の
ぼやけた情性

谷底の囃子は
まだ聴こえるか

暮れてゆく声が赤々と迫り
黒塗りの群れを
大きく模る

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果ての視えない廊下を廻り
糧を無くした瞳を潰す

震えていたのは真実か
凝り固まった
柱が傅く事はない

空き部屋は飢える
満ち足りた日々を
知っているから

饐えた中庭
硝子戸が隔つ通わぬ慈愛

全て内内に
統べて白日に

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首を断て国を発つ間に
悔いを残さず

規律は網を擦り抜けて
起立する傘が花開く
乾いた靴音
構えた総身に響かせて
交わした抒情へ

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遠く及ばぬ気候に焦れた
気後れ雑じりの帰港

奇行を以て機構に与する
見開いた眼の及ばぬ慕情
見据えた牙城は
砂上の楼閣
机上の頭角

張り上げた声の行き先は
吊り上がる首が至れぬ豊穣
終わらぬ騒擾

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着飾る事すら置き去りに
靴の鼓動が血を巡らせる
残り香すらも
貌を歪めた朝に付き添い
苦悶に霞んだ
波紋が重なる

目を開けて芽を摘んで
切り口の液に
手から零れる空を映して

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横並びの板と釘
打ち付けられた骨を鳴らして
明くる陽を待ち街を行く

天は白濁し筋が発つ
紐付く頭の結び目探して

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引き戻された空き地の隅に
引き延ばされた意志が転がる

石はいつまでも忌避であり
芥子はいつでも
壊死した夢を見降ろしている

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空白が息を詰めるとき
仮の宿には靴が溢れる

出て行きたくとも
足が無い
移り行くのは言葉だけ

繋ぎ止めてはいけないと
言い聞かされて
根差した回想
捩じれて回送

道は元から個々にあり
位置は元々此処には非ず

晴天の空が濁るたび
退転の子等が夢を啄ばむ

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