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届かない想い出と
背中を押す現実

朽ちた身体で紡ぐ音
痛みに蝕まれ増えたぼく

ねぇ見て
ぼくは気持ち悪いでしょう？
３つの首は蛍光灯の光の下で
【笑う】【泣く】【怒る】

羽を毟り取られたぼくと
羽など持たないぼく
作り物の羽で天を仰ぐぼく

ぼくは飛べるでしょうか？
それとも焼かれるでしょうか？

硝子越しの白衣の男
無言のままにぼくを見つめる

真っ白い羽に託した
さかさまの日々

情熱と痛みの狭間でぼくは増えた
死さえも追い越せない程に

硝子のゆりかごで
ぼくは待ち侘び続ける

何でもいい
取り合えず何らかの刺激を

累々と積み重ねた空虚な日々

さよならパパ…
自由を奪った愛しいひと

壊れたゆりかご鮮血の白衣
３つの心は蛍光灯の光の下で
【抱き寄せる】【縋り付く】【噛み砕く】

騒音明滅銃声悲鳴　騒音明滅銃声悲鳴…

さよならみんな…
行く手を阻む怯えたひと

やがて雲を抜けたぼく
ぽかぽか優しく抱き寄せるあなた

ぼくはあなたに問いかける
作り物の羽で羽ばたきながら…

ぼくは生きていいのでしょうか？
それとも焼かれるのでしょうか？

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天翔ケリ
片目のからすは砂の上
にじいろからすは巣無の羽依

もういいかい？
まぁだだよ。

友の想いを携え幾里
新たな土地に夢望を籠めて

お日様ぎらぎらとりひしぐ
辺り構わずとりひしぐ

楽園は何処ですか？
飛べども飛べども熱の手のうち

雨欠ケリ
片目のからすは渇き餓え
にじいろからすは過羽き迂え

もういいかい？
まぁだだよ。

友の想いを携え幾里
新たな土地を無謀に乞めて

お月様ゆらゆらとりかこむ
辺り構わずとりあげる

楽園は其処ですか？
途べども途べども寒の手のうち

天翔ケリ
片目のからすは草の上
にじいろからすは苦鎖の羽重

もういいかい？
まぁだだよ。

友の想いを携え幾里
新たな土地も霧亡に籠めて

毒煙ふわふわとりかこむ
弱ったからだをとりひしぐ

楽園は此処ですか？
吐べども吐べども生の手のうち

天翔ケリ
目隠しからすは雲の上
にじいろからすは駆喪の有恵

もういいかい？
まぁだだよ。

友の想いを携え逝く里
新たな土地は無乏に誇めて

友の想いはとりかわす
残ったからだをとりいれ幾年

にじいろからすはかくれんぼ
友の想いにかくれんぼ
やがて根がでるつのがでる
煙を食べておおきくふとく

もういいかい？
まぁだだよ。

お日様ぐるぐるおいかけっこ
お月様ぐるぐるおいかけっこ
明滅明滅幾年幾年

空気はいつしか澄み渡り
辺りは木々が生い茂る

もういいかい？
まぁだだよ。

おいかけっこは果てなく続く
明滅明滅幾年幾年

空気はすっかり澄み渡り
森でどうぶつひなたぼっこ。

もういいかい？
もういいよ。

森の真ん中
一際大きな大樹が見渡す
全ての命を慈しむ。

皺にまみれた大樹の肩から
やがて芽が出る花が咲く。
にじいろはなびらかおをだす

みぃつけた。

ボクの肩でキミは微笑む。

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すみません
暫しの間
此処で休ませて貰えませんか？

片目のキミはお空の上から

かまいません
どうぞ此方へ。

窶れたボクは砂土の上から

ありがとう
久方振りに休めます。

ボクの肩でキミは微笑む

いえいえ
こちらこそ。
誰とも喋れず退屈してたところです。

ボクが一人ぼっちになってから

どれ程の朝を
どれ程の夜を過ごしたのでしょう？

ボクの仲間は皆朽ち果て
辺りは砂の地平線

誰かいませんか？
呼べども呼べども応えは無く
お日様ぎらぎら枯れ草散らし

そうでしたか
辛かったでしょう
寂しかったでしょう。

私も一人ぼっちになってから

どれ程の朝を
どれ程の夜を旅したでしょう？

私の仲間は病に倒れ
辺りは煙と蒸気の地平線

誰かいませんか？
呼べども呼べども応えは無く
お月様ゆらゆら屍照らし

…キミに頼みがあるのですが
良ければ聴いてもらえませんか？

なんでしょう？
私に出来ることならば。

ボクの命はあと僅か。
もうじき朽ち果て
砂土のひとつに還ります。
キミは明日
新たな土地へと旅立ちます。
もしも迷惑でなかったら
この子も連れて行ってくれませんか？

分かりました
出逢って僅かばかりども
あなたと過ごした数時間
旧友過ごした心持ち

ありがとう
やっとボクも眠れます。
仲間のところへ旅立てます。


地平線が暁色に染まるころ
無言の友に背中を向けて
想いを携え飛んでゆく。

黒い翼を虹色染めて
砂の大地と哀しみ越えて。

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おおきなむかでを待ちぼうけ。
みんないっしょに待ちぼうけ。

皆は外！僕は内！
鼓動高鳴るつちのなか。
ふみだしましょう！

おおきなむかでは風を切る。
つちのすあなを駆け抜ける。

皆は外！僕は内！
木霊すあしおとつちのなか。
ふみだしなさい！

ありのたいぐん堵列を組んで待ちぼうけ。
規則正しく待ちぼうけ。

皆は外！僕は内！
ちくたくちくたくつちのなか。
すりへらしましょう！すりへらしましょう！
ぼくらのちにくをすりへらし
いだいなあるじにささげましょう！

待ちぼうけ。待ちぼうけ。
おおきなむかでを待ちぼうけ。
むかでのがんこう闇を貫く。

絶え間ない震えと葛藤。
ふみだせ！ふみだせ！ふみだせ！

てつのむかでが咆哮あげる。

誘う心、揺蕩う身体。
ふみしだきなさい！

むかでのしゅじんがべとべとつぶやく

白線の内側より下がってお待ちください。

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ぼく、みきさー！
がぎゅぎゅぎゅぎゅるるんぎゅるるんぎゅんっ！！
はい、できあがり♪

ねぇ、ねぇ、どう？
ぼくのきば、すごいでしょ？

ぎゅうにゅう、いちご、ばななに

…それと、

ほうれんそうっ！

あっというまに
みっくすじゅーすのかんせいだよっ♪

ぎゅうにゅう、いちご、
ばななはもちろん、
ほうれんそうのこまかいせんいも
ぼくのきばにかかれば
こんなにとろとろさっ♪

えいようまんてんだよっ
さぁ、めしあがれ♪


ぼく、みきさー！
がぎゅぎゅぎゅぎゅるるんぎゅるるんぎゅんっ！！
はい、できあがり♪

ねぇ、ねぇ、どう？
ぼくのきば、すごいでしょ？

とうにゅう、ぶるーべりー、ぱいんに

…それと、

おかあさんのてっ！

あっというまに
みっくすじゅーすのかんせいだよっ♪

とうにゅう、ぶるーべりー、
ぱいんはもちろん、
おかあさんのてのこまかいすじやしんけいも
ぼくのきばにかかれば
こんなにとろとろさっ♪

えいようまんてんだよっ
さぁ、めしあがれ♪

RETURN▲

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山道わきの深緑群れ群れ
黒い喪服のおとこがひとり
ちいさなかばんを小脇に抱え
茫茫もりへと引かれ往く

古い枯れ木がけらけら嗤う

噎びましょう！
区切りましょう！
銜みましょう！

此処に伏すまで。


産道涌きの身虜苦蒸れ蒸れ
暗い無福のおさるがひとり
ちいさなからだを御枝に凭れ
亡亡もりへと惹かれ逝く

古いからだを螻蛄螻蛄食むる

結びましょう！
括りましょう！
腐りましょう！

苔の生すまで。


惨動涌きの身旅供熟れ熟れ
臭い泡のおにくがひとつ
ちいさなかけらを小虫に捧げ
ぼぅぼぅ鳥が螻蛄螻蛄食むる

還りましょう！
帰りましょう！
孵りましょう！

業の無すまで。

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音が聞こえる…

僕は歩いた。

歩いた…

歩いた……

歩いた………。


やがて　道無き道の果てに光が見えた。

ここは何処なのか？

僕はいつから此処に居るのか？

…そもそも僕は誰なのか？

僕の問い掛けに答える者は無い。


分かっているのは　
ここには何も無いということ
ここには僕しかいないということ。


一体どの位の時間歩いたのだろう？


光はまだ　遥か遠く
がむしゃらにもがく僕を
憂い揺らめく。


僕は走った。

走った…

走った……

走った………。

一体どの位の時間走ったのだろう？

次第に音は高まり　希望は輝きを増す。

この音は何の音？

…分からない。

なぜ僕は、彼の光を目指す？

…分からない。

そこには何がある？

…分からない。

理由なんかどうでもいい。

…ただ、僕は、
……その輝きに触れてみたかった。

一体どの位の時間想ったのだろう？

ついに僕は　光の許へと辿り着いた。

僕は暫し　その神々しいまでの金色に見惚れた。

光はただ、無言のまま明滅し
僕という存在を優しく照らす。

…僕は確かに此処にいる。

曖昧だったその認識が確証へと変わった。
…僕は此処にいる。

熱い想いが心を駆け
冷え切った心は温もりを帯びる

…その輝きに気付いたのは何時の頃だったか。

それは数十年前…　いや、数百年前………？

…気の遠くなる程の刻を
気が狂いそうな程の時間　この空虚な世界で過ごしてきた。

…もはや僕には、刻の感覚など存在しない。
唯一分かるのは、歓喜に震える僕という名の事象だけ。

僕は次第に鮮明になる自分の"身体〟に気付く。

これは僕の身体なのか？

僕には身体があった？

それとも、たった今、
光を浴びたその刹那に手にしたのだろうか？

…いや、もしかすると、
僕が気付いていなかっただけで
初めから存在していた？

…少なくとも、これだけは断定できる。
僕は今、此処に存在する。

僕はその輝きの中心、
一際大きな光の柱の許へと歩み寄る。

彼の光との距離が縮まるにつれ、
僕の存在が色濃く映し出されてゆく。

…もっと！

……もっと！！

………もっと僕に光を！！！

高ぶる想いが僕の中から留まることなく溢れ来る。
疑問が確信に変わった。
僕は「無」ではなかった。

…しかし、まだ分からない事がある。
……僕は何者なのだろう？

彼の光に触れる事が出来れば、
その疑問の答えは出るのだろうか？

…次の瞬間、
僕は彼の光に手を伸ばしていた。

「触れてはいけない。」

…何処からともなく、声が響いた。

それは誰の声？
此処には僕だけしかいない。

…誰でもいいさ、
僕は自分の事を知りたい。

僕はその声を気にする事無く、
彼の光に再び手を伸ばした。

「触れてはいけない。」

また聞こえた。

一体、誰が語り掛けているのだろう？
…何故、触れてはいけないのだろう？

否、そんな事は関係ない！！

そうだ、
………関係ないんだ。

彼は、僕の存在を、

…深淵の遥か彼方、
暗闇の中で悶え惑う、
僕という事象を鮮明に映し出してくれた。

…もう、迷うものか。
迷うのは、………もう沢山だ。

僕は光の中心、
既に黄金色すら超越した、
限り無く白に近いその光にその身を委ねた。

暖かい光に抱かれ、
僕の身体は融けて逝く。

その刹那、僕は知った。
僕が、何者なのかを。

…後悔は無い。

これは僕の、…最初で
………最後の決断なのだから。

僕は深淵の闇から生じた、小さな影。
光なくしては、その存在すらも証明出来ない、ちっぽけな影。

光に恋をした、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　………愚かな影。

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