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「お早う御座います」

今朝も電子の渦の中
いつもの人が叫んでる。

スーツを着込んで ぐだぐだねちねち
この世の理 悟った顔で
社会の波を切り捨てる。


「こんにちは」

昼も電子の渦の中
いつもの人が叫んでる。

スーツを着込んで うとうとだらだら
この世の理 悟った顔で
家庭の柵（しがらみ）説き伏せる。


「こんばんは」

夜も電子の渦の中
いつもの人が叫んでる。

スーツを着込んで にやにやへらへら
この世の理 悟った顔で
小切手片手に 四者択一。


日が昇り 日が沈み
流れる刻に焼付きながら
今日も電子の渦の中
いつもの人が叫んでる。

スーツを着込んだ悪人面は
この世の理 悟った顔で
お金の海で泳いでる。


嫌気が差して波長を変えても
変えた先でも奴の顔。
何処も彼処も奴の顔。

もう、いっそ
砂嵐でも見つめていよう。

投げ槍に 電子の掃き溜め映してみたが
白と黒、激しい磁界の渦の中
スーツを着込んだ悪人面が
この世の理 悟った顔で
歪んだ声で笑ってた。

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晩秋沈みし暮れの林道
穂先開いたすすきの海を
白い老婆が泳いでる。

口は開いて目も空ろ
萎れて根を張るその腕に
冷たい鎌を握り締め
お空を見上げるその首を
ざくざくざくざく
削ぎ落とす。

黄玉色のさざなみは
秋の日暮れに消えて行き
風が奏でる歯音に雑ざり
白い刃音が舞い躍る。


晩秋沈みし明けの林道
穂先開いたすすきの海を
白い老婆が泳いでる。

口は開いて目も空ろ
萎れて根を張るその腕に
冷たい鎌を握り締め
お空を見上げる霜柱
ざくざくざくざく
踏み拉く。

黄玉色のさざなみは
秋の日の出に消えて行き
風が奏でる葉音に雑ざり
白い羽音が舞い躍る。

RETURN▲

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暗い夜道の片隅で
君は地面を這っている。

紅い木の葉が風に揺れ
ひらひらひらひら舞いゆく様を
土に塗した脱殻と
戯れ馴染み、眺めてる。

さびしい外灯照らされて
ぎらぎら光る大きな鎌は
電柱の下で群れを成す
汚れた犬の背骨に根差し
翅を見上げて風を裂いてる。

ああ、眠りに落ちるその刹那、
鼓膜を揺らす君の手は
吹き上がる水に溶けるように
崩れるように
ただ、ふわふわ浮きながら
扉の鍵束鳴らしてる。

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