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平凡装う非凡な埃が
圧着端子に寄り添いながら
退屈そうに欠伸をしている

穢れを知らない螺子を下さい
うだつの上がらぬ手癖の悪さに
三畳一間のカタコト並べて

劣化してゆく布地の在処離れ
連鎖してゆく沼地のやさぐれ
インクヘッドの風見る鶏よ
スナッフフィルムの君を肴に
A4用紙と共に詰まろう

異邦の風を感じながら
違法の枷を案じている
痛みに霞んだ ヒトの肖像
蝌蚪の情操　捻れて焦燥
積もり積もった ほとの群像
引き出しの奥へと押し込めてゆく

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取り外された額から
マズルの先へと至る流れに
海老は等しく鰓を委ねる

水底からの慰めと
無脊椎の演算子
足して除いて季節は過ぎ行く

縫合された穴より囁く
周期の違えた生の確証

慎ましき小部屋の犬よ
この脊椎の疼きに応えよ
あの色彩の餌食を拵えよ
無責任な振る舞いと
モニターの中の愛の捌け口

悩ましき畑の土を
縦ノリの儘に踏み潰せ
書き綴れずとも
咲き誇れずとも
其処を確かな道とするなら

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縫い目に沿って浸水する
負い目にそぐわぬ心酔

電話ボックスに忍び込み
手に取った受話器を毟り取る
傷口から溢れ出す言葉が
嘘偽りの無いものだとしても
環状に開いたクチクラに
透ける思いの腹黒さ

蛍光色のトマトを摘んで
君の口へと運んでみても
開かぬ存ぜぬ見知らぬ筋に
搾り取られて 果てる空しさ
待てぬ哀しさ
捨てぬ疾しさ 噛み千切る

膨れてゆく腹の内
窶れてゆく空の淵
溺れているから満たされる
浴槽程度の水と哲学

カビたタイルを擦り続ける
爪の隙間の興行師
風の吹く間に 傘の間に間に
亀の葬列 金の壮烈
括った紐と 見送る火元
骨も残さず 他に残せず
翌の綴りを 何処に記そう
欲の番いの 床に示そう

無線設備と至らぬ甲虫
舌の根元へ卵 産み付け
過去の絵の具と共に朽ちゆく

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濁り切った泥水が
翅脈を満たして
明日の天気へと目を落す

根絶は無理でしょう
還元すべき利潤の果てに
進言すべき矛盾は糧へ

切り取り線から
刈り取る勘定 割り切る感情
後ろ盾にも至らない
乾いた艦上 戯けた感状
暴利の果てに 小売りは果てて
道理を仕立てた 道化と共に
文化の苗代 犯しましょう

筋張った流入に
過ぎ去りし日の雨音重ねた
レインコートの裏拍子

遠ざかってゆく残響に
排水溝に唆された
蛙たちの合唱
帰り道へと合掌
回り道からの殺生 セッション

翅の歪んだ蝉の行く末
湿り気帯びた 下水に委ねる

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駆け込んだ生地の中
甘い甘い砂糖菓子へと
埋もれてゆく

陽が昇り没する様に
非は灯り屈する 四方(よも)へ

優しさに包まれて
崩れてゆく

易しさに銜まれて
腐れてゆく

惰性の儘で至る境地に
辞世の句にて縋る 笑止

アルミニウムの揺り籠で
万葉の肉面は微笑む

封入された星屑を
摘み上げては噛み砕く
齲蝕に怯えた捕食者達へ
ヌワラエリヤの茶葉と香を

満天の干し首に
観点の干し草添えし 倦怠観測

畦道 寝そべり
虫の巣穴に 勾引かされる

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土の上へと投げ出され
種は己の殻を割る

私の根 あなたの根
枝の分かれた道と成し
脈打つ血と知の生は息衝く

お前も知れよ
お前も聞けよ
偉大な大樹に耳添えて

誇らしげな寄生樹が
切り拓かれる
人の道へと唾を吐く

模索する心根と
模倣する心在らずのヒトモドキ

愛想笑いで受け流す

愛を語って浮き上がる
空へ空へと伸び上がり
見下す、見限る、見果てぬ増長

見て見て、
あの幹 根っこが無いわ

ああ、本当だ
ほらほら、あの幹も この幹も！

でも偉そうね

偉そうだ

自分の根っこも無いのにね

自分の根っこも無いのにな
不思議だな

不思議だね

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打ち付けられた釘剥し
凍て付く土壁 耳添て

春何処
花薫る石陰
敷き詰められた雪 崩し

春が来た
暦の上に猿が居た
頚動脈の袂に集いし
乱痴気騒ぎの夜が来たのだ

真っ暗な箱の中
真っ新なネオンの揺らぎが
真っ青に 真っ青に
真っ白な頭の中を染め上げてゆく

顔を出す
陽気すら溜まらぬこの場所で
這い出て震える
脚の音

明日の意図に流されて
川下へ 川下へ
皮一枚の温もりは
節気の囁き 誑かされて
寒い、寒いと嘆いて消える

雪融けぬ 暦に囃され
往き過ぎる
開けた巣穴に 家畜詰め込み

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階段の踊り場には
花韮たちの
首から先が転がっている

吹き寄せる風に
追いやられては
引っ掛かり
今日の思いを繋ぎ止める

憧れも夢も
記憶の形と異なる種子を
団地の中で育んでゆく

滑り台の下に
あなたの骨は植わっていて
無邪気な笑みに
その身を靡かせ
薄暗い遊歩道の隅にて
強かな蕾を
膨らませて 孕ませて
土の匂いに埋もれた指を
いつまでもしゃぶりつづける

味のしない指先に
吹き溜まる離別の調べ

さようならは言わないで
おかえりなさいが 聞こえる日まで

さようなら

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