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面と向かった貴様には
最早何の感慨も湧かなかった
お利口な風上に
無礼講の鉄拳制裁

毟り取ったものすらも
記憶の中には無いのだから
太り切った腹の中
どうして笑って居られようか

湧き出る様な語彙を横目に
飢渇し切った愛を語らう
もう 終いで
いいのでしょうか
自由落下の声に紛れて

ごめんなさい
水など
始めから
無かったのです

蒸発すらも出来ぬ身で
どうして笑って居られようか
面と向かった貴様には
最早 何の歓声も沸かなかった

突き刺さる前に身を融かし
枯渇し切った雨と語らう

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真っ赤な瞳を
摘み取ってしまいなさい
切り開いた先にあれ
強欲な秋の忌物

日当たりの良い場所で
痛んでゆくから
駅のホームに置き去りに
遠路遥々線路を伝う

行き摺りの人々が
目を丸くして横になる
揃えた靴へ たわわに実れ
切符を落した 葡萄の言い訳

臆病風が吹かぬ所へ
この弾薬を運んでおくれ
割れた酒瓶 滲みる揺り籠
朗らかな声上げて 笑ってゆこう

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絶望に身を浸して再考する
薄汚れた雲と
差し迫った雨粒に
己が肢体の脱け殻を積らせる

折り重なって 明日に告ぐ
寄り合わさって 朝に注ぐ
背中合わせの 畦の継ぎ接ぎ
指先示して 恐れ戦く

人の不幸は蜜の味
花弁の頭に舌立てて
堪え切れずに箍を緩める

そら見た事か
種に非ぬ産物が
毛皮を纏いて 獣と嘯く

尾を握り 欲ぶちまけ
揃わぬ数字に狼狽える

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金魚鉢へと注がれたのは
純度の薄れぬ日々の葛藤
歩け 歩け 腐らぬ中に
尊き血潮が途切れぬ事を
内に抱いた 夏に透かして

道標の先にあるのは
愛しさ固めた鉄の望郷
視線の泳ぐ 宙に迎え火
死線に戦いだ 煙草の花が
精霊舟へと 腕を振る

ふらふらと 風に揺れ
ひらひらと 宵に舞う
切っ先 示した 帰らぬ聲は
夜空に轟く 華の裂帛

気高き日の出に 目頭熱く
着剣捧げ銃の敬礼

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胃に空いた穴から
意にそぐわぬ
自慰行為を晒して見せる

わざわざ
大きな音を立てず
こんな場所に
埋もれているのは
夢物語の延長線
救いのその手に揺られてたいから

ゆらゆら ゆらゆら
目を閉じて
小さな芽生えも許さない

繁っているのは
同じ顔ぶれ
何かの兆しを待ち望み
何処かの雲間に陽射しが落ちた

ああ 日に増して
あなたの姿が陳腐に見える
有り難がった言葉にも
虫の卵は付いていたのだ

欲求心理は乱れて膨張
夢物語の始発線
救いのその手は汚れていたのだ

鼻を突く
異臭に呼ばれて振り返る

幼き頃の憧れは
神輿の上で腐っていた

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物書きが身を投げる
雲間から覗く
熱を帯びたビルの谷間に
茹る言葉を吐き捨てて

塞がらないのは
この営みか

積み上げてきた瘡蓋を
一枚一枚剥ぎ取って
在りもしない犠牲者に
追悼の意を捧げて叫ぶ

血は！相も変わらず！
滴っています！

切断面に擦り付け
赤い夕陽を疼かせ賜え
紡げない神擬き
弾けない引き金 鳴らして
悪因悪果の民の恍惚

蜈蚣の足は怯む事無く
飛び散る血肉の慰みに
その節々を
絡め続けて往くのでしょう

あ丶 無情
小洒落て 痴情
見てくればかりの
私情を殺せ
詩情に込めた刃渡り滑らせ
出血多量の生を噛み締む

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薄まってゆく泥の底で
散乱した意志を束ねる

啄まれては潰れる線画
奥行きの果てに途切れる線路
各自 軋轢の音 奏で
土に 塀に 電線に
所在の血潮を這わせて俯く

胸を張り 仰向けで
一本の線軸へと
帰属してゆく起爆装置

既読した旨を
共鳴室へと受け渡し
費やす秒針は拍を刻む

結局は紛い物の転生なのだ
実っても刈り取られ
熟しても留まる事は出来ず
種を残して
また夜が明ける

飛翔する合の手は
囀りと共に揉み消され
路面には
空回りする翅の痕

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滑車の横に落ちていたよ
憔悴し切った幼虫詰まった
革の袋を手渡される

犇めく様な雲の動きだ

隣の鉱夫は
いつもと様子の異なる音に
空を仰いで 地に跪き
スコップの柄に
花の名前を刻み込んでは
身元の分からぬ 遺体を並べる

腫れ上がった顔に
晴れ上がった加護がありますように

鼻を突く花の香り
肌を突く恥の陰り
膨張しては噴き出して
影に呑まれて溺れてゆくのさ

いたいけな躰は
握り締めた掌の中
声も出せずに潰れていった

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