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浮かぶ木材 向かう贖罪
黒い水面に灯る花

舞い踊るのは
蟹の縁談 鬼の船団
隔てられた暦を跨いで
泡を捏ねる
皮を刎ねる

墨を纏った背後には
漕ぎ手の居ない泥の舟
沈んで融けて 骨になっても
何も得られず 何も残せず
ただ絆される事を
待ち望んでいるだけさ

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折れた首を庇いながら
軒下に宿り次を待つ

留め切れない衝動が
振るわれる度に
景色は乱れ
拾われる度に
窮屈なフィルムは
満たされてゆく

骨組みは整いましたか

寒空はまだ
流れる血潮の熱を知らない

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古びた硬貨を投げ入れて
落としどころを
問いかける
呑み込んだのは
誰の言葉か
賽銭箱は欲を知らない

垂直に昇る空き缶は
きっと神にも成れるのだろう
罵声と歓声 光の氾濫
屑籠の中から 飛び出て散乱
追い風に煽られるがまま
向かい風に 信を問う

喰らっているのは
己が理想か

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棲み分け出来ない蓋の下
理想と理想の鬩ぎ合い

思想と死相が紡ぎ合い
ちぐはぐな笑顔のままで
痛みを知らない頃を 夢見る

喰らい付いた咽喉笛は
何故にこれ程 温かいのか

安らぎに満ちた朝が来る
断ち切った夜を 歯車にして

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蛻の殻と言っていい
この部屋には意思が無く
煙の様な声だけが
主の帰りを待っている

外の空気が恋しいです
包まれた思い出が
腐臭を放つ そんな週末

そう この玄関にも
夜は確かに忍び寄り
逆光の影を銜えたまま
地味で目立たぬ菌糸体を
派手派手しい
子実体の傘の下で
燃やし尽す他ないのだから

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痙攣する街の灯が
漂う海月を照らし上げ
空き室ばかりの
アパートに
束の間の賑わいを
齎している

噛み合わぬ鍵の音
誰の目にも触れぬ心が

今 静かに
赤みを帯びた

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吐き掛けられた唾を掬って
固めて丸めて投げ返す

落し物はここですよ

キャッチボールと偽った
魂の獲り合い
種の植え合い
肉を切らせて骨を断つ
軽薄な頭を
首ごと千切って
ショーウィンドーへと
並べて晒す

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破れた腹を縫う様に
開きっぱなしの口を閉じ込む
さあ膨れてしまえ
漏らす事無く
熟成させた夜を愛でよう

耳の奥には傘の骨
降り注ぐ音を
受け止められずに
弾けて割れて拍は脈打つ

ああ 不機嫌な霧がまた
頭の中に充満している
憔悴し切った映写機だから
せめて豊かな色でありたい

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