2015年12月不完全きのこ

棒人間を
へし折る程度の
気楽さで
ベンチの上の包みを解く

ああこれが暗転か

遮られた陽射しの下で
鋭い爪が誰かを掴む

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2015.12.27 ▲

宵を繕う

詩 | 小説・文学 | 2015年の詩

宵を繕う

不愉快な笑い声を
跡形もなく混ぜ込んで
残す価値無い年の暮れ
豊かな血肉と共に在らん

雨は何時までも雪に成れず
夢は何処までも煮え切らない

丸呑みにされた街だから
人工的な明かりの中で
酔いを貪る宵を繕う

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2015.12.26 ▲

落ち着く場所

詩 | 小説・文学 | 2015年の詩

落ち着く場所

性質の悪い冗談だ
靴底より高い雪に隠れて
朝が戻って来ないなんて

不機嫌な夜が渋々と
皆の背中を撫でている

気に入らないなら
それで結構

触れるままに揺れるままに
落ち着く場所へと
行き着くだけさ

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2015.12.26 ▲

姿と素顔

詩 | 小説・文学 | 2015年の詩

姿と素顔

擦り切れた声の続きは
枝分かれした未来の一つ

ほら床のテレビは
もう映らない

整合性など虚しいものだろ
思い描いた姿と素顔
空き缶の蓋が
離れる事を拒む頃
捉えたはずの心は去るのさ
何の未練も残さずに

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2015.12.25 ▲

埋まる笛吹き

騒ぎ立てる鼠と過ごす
年の黄昏
富の立ち枯れ

詰まらせた餅が阻害する
水の往来渦の襲来

鼻を抜け数数え
溜まる甲虫謀る胸中

たった
それだけの事だから

殴り付けた星々は
いとも容易く夜に瞬き
笛吹き達は生き埋めになる

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2015.12.24 ▲

抜け切る先

逆さまに揺らぐ電光に
水の深さを問い掛ける

温かな重さだった
挟まれた明日を
雲の上へと打ち上げるのは

厚い幕灰の空
抜け切る先はただただ蒼く
きっと誰かの苦しみさえも
まるでその場に無かった様に
澄み渡る墨を吐く

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2015.12.24 ▲

雪の帰路

ばらばらに探る声
集める程に道を違えて
依る辺無き肌を摺り寄せる

列なった足取りと
異なった暴走

枯れ葉と巡るは
雪の帰路
後ろ楯すら交えぬ内に
捻れぬ陽射しは
種子を芽吹かす

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2015.12.23 ▲

憎む度

目が眩む程の高さに在って
世が拗ねる様な甘みを惚気る

転落すると同時に綻ぶ
駆け出す景色
馴染む心拍

肉感に沈むだけでは
もう誰も満たされない

邪魔者を憎む度に
完成された声は轟く

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