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説得力など此処に無く
臨む始点がそれを成す

そう これは屁理屈だ
ただの水を
聖なる水だと嘯く為の

聴かずして音が生まれる
嗅がずして匂いの中へ
埋もれる為の

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帰りを待つのも悪くない
言い聞かせたのは
己の為でもあったのだ

旅立ちはいつも強引だから
腰掛けた跡は
忘れもので溢れている

引き寄せられて
失うものもあるんだよ

細やかな日の幸せは
忙しない日の不幸せ
一つ得る度
二つ零れて また渇く

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隔てられた空間に
置き去りにして早幾年
まだ脈はあり
もう目は見えぬ

距離感は所詮は主観で
虚無感だけが
揺らぐ事無く 厚みを増して
ただ 手を拒む

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振り解いてみせてくれ
沈まぬ花を
淀まぬ水を

澄み渡った昼間に浮かぶ
海月が萎れて終わぬ内に

煙らぬ街だ

指の反復 詰めて心服
繋がりなんて
疾うに途絶えた

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切れ端を掴む指先は
理不尽に積もった
重さに耐える

破れてしまえば
楽になるのに

昨日までの心臓は
缶詰の中で煮詰まって
震えるその手に
触れる事も儘ならない

ああ 齧り取られた雲間には
脈々と血が行き渡る
点になる

覗いているのは
誰の瞳だ

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物語の中の風景は
いつでも彼を拐かす

心地好い 平和の鐘だ
見上げた先は
今日も光が 充ち充ちている

視界の外では
こんなにも色で
溢れ返っているというのに

哀しいかな
賎しいかな
巨悪の使徒を捏ね上げて
切り付ける
締め上げる

凛とした顔に陰り無し
骨になるまで

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空回りする車輪の音は
寒空の下
誰と誰とを紐付ける

境遇さえも目が合わず
掴んだ先の理想なんて
知る由もなく
知る故もない

そうさ 彼らは
飛び込んだのだよ

いいえ 彼らは
巻き込まれたのよ

全く以て
無責任な憶測だけが
荒天の夜に
花を咲かせる

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これまでもずっと
雪の下で
息を潜めてきたのだろう

積み重なった札束が
今となっては愛しく
省いた背骨が狂おしい

ああ 腑抜けた声が
春を呼ぶ 何処へと知れずに

融けてゆくのは
冬ではない

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