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布が汚れを拭き取る度に
雲の隙間に
明かりが漏れる

光源は常に
受け売りばかりさ

宣う者に
集る羽虫の煌めきは
重い荒夜さえも
掻き毟る

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射し込む灯りが
形を刻む

人は確かに
此処に在るのだ

そう願う度に
マッチを擦る

激しい熱は
直ぐに治まり
流れる鼓動は闇夜と交わる

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物言わぬ粉に埋もれて
誰も彼もが声を潜める

いつまでお前は
此処に
居座るつもりなのか

色を奪われ
音を潰され
心は土の匂いを求める
凍て付く様な
春と偽る月日を呪って

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糞みたいな天気に
付き添いながら
ゴミの様な捌け口に
吹き溜まる

あいつの顔ごと
叩き潰してしまえばいいさ

積りに積もった雪はまだ
絆されるだけの
屋根を知らない

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無駄足を
踏ませてしまった
みたいだね

蛻の殻の八号室には
書置きだけが残されていた

埃臭い畳の中へ
潜る意味などあるのだろうか

窓枠はまだ
手付かずのまま
鼠色の光だけが差し込んでいる

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融けては積りを繰り返し
減る事の無い 不満と憂鬱

湿った雪は重荷ですか

着込んだ服は 何も語らず
締め上げた首へ
中途半端なけじめを求める

これはまるで
生殺しではありませんか

石を退かそう
埋もれたままでも
構いやしない

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繋ぎ止めるまでもなく
易者は路地に留まり続ける

さようならはもう聞き飽きた
それはお互い様なのだから

飛んで行った風船は
誰の下にも
平伏す事は無いだろう

破裂音が過る度
掴み損ねた素顔が曇り
予想通りの顛末は
道の外へと食み出して行く

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見上げていた街灯も
やがては萎れ
道端に寝そべる飴と化す

こんなもの
舐める気にもならないよ

肌寒い夜は
芥子色の空に抱かれて
蜜柑色の涙を湛える

床に降りれば こんなものだ

電線が黒い影を落とし
伝染する
茄子色の建造物

雪はまだ残り
雨はまだ雨に為れない

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