2016年07月不完全きのこ

2016年の詩

ポケットの紙幣

泡銭は床に居る
口を閉ざして

君は誰の
お気に入りだい

呼び掛けは愚問
首を締め付け
砂の嵐に目を奪われる

縫い付けたのは
何処の手だ
疾うに指針を無くした者よ
惚れた火薬は
湿気っていますか

賑やかにたおやかに
祝砲を撃つ
くしゃくしゃの
札を拡げて

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2016.07.31 ▲

描いた弧

聞こえてくる呼び声が
巡って行くとは限らない

何時から其処で
雨を凌いで居たんだい

捨てられた缶の
錆びた共振

ただ直向きに
水を湛えて
子を産み落とす
弧を描きつつ

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2016.07.29 ▲

萎れ咲き

無自覚な侮蔑へ
積年の皮を被せる

舐め腐った首はもう
繋がる事すら拒絶して
滞る夜明けと共に
下水管へと移り住む

息が欲しい
一呼吸でも構わない

舌が痺れる
四隅を前に頽れし
自堕落な理知
這い回る程に
お洒落に咲くのさ

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2016.07.23 ▲

無防備な舌

歩幅が縮んでしまわぬ内に
大きな鞄と時を昇ろう
初めて会った
あの日みたいに
刃は透き通り
血は管のみを巡り行く

久しい構図だ
味なんて知らぬ頃の
無防備な舌と冒険

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2016.07.22 ▲

夏の羽虫

待ち焦がれる程
熱は遠退き
うんざりする程
夢は舞い込む

剥がれた爪は瓶の中
削がれた皮膚へは
到れない

受粉するまで
此処に居よう
羽虫が
心を無くさぬ限り

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2016.07.21 ▲

舞台の袖から

覗き穴から吊り上げた
飾り気の無い
侮蔑と倨傲そして忌避

話し合いなど
形が残れば充分だ
骨が無くとも

貶めろ唾を吐け
舞台の袖から

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2016.07.19 ▲

不安気な鼓舞

詩 | 小説・文学 | 2016年の詩

不安気な鼓舞

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罅割れたタイルが
夢を受け止め
溜まるばかりの垢と執着

浸かり切った眼差しさ

打ち明けられる
人も無く
塩素臭さを丸めて隠す

日焼けの跡は
いつまで留まる

問い掛けの筈が
追い詰める午後
一時の香が居座る訳だ

不安気な鼓舞へ
委ねるままに

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2016.07.18 ▲

無下な響き

塞がれたトンネルへ
未だに続く
車軸と心音

脇道は骨に寄り添うか
それとも挫くか

無下な響きさ
年も半に

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2016.07.17 ▲

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