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飼い殺されている内は
鏡が燻る事もない
背中に面した鬼の顔
陽向に臆した渓を見下ろし
湛えた涙へ身を投げる

視界には軸が無い
泳ぎ疲れて

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蜈蜙の節で居られる事が
痛みの引いた頭に染み入る
引用ばかりの営みなんて
川原に打ち捨てられると良い

河川敷が朱に染まる
それは産声
虐げられし群の行進

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咎めるべきは老いた壁蝨
其れに列なる脚の跡
塞ぐ間も無く開かれる
鬱ぐ傷痕
跨ぐ血の糸
拉ぐ素朴を求む声さえ

甘えて居るのは
貴様らの眼だ

負ぶさるだけの傲岸不遜
不様に奈落へ突き落とせ
笑う事さえ
阻むと言うなら

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何も無いのだ
巡れども巡れども
拾えない音さ
死出に待つのは

刻一刻と蝋熔かし
己が熱量 示し合わせど
空の容器を 充すもの無く

愛盛って哀喰らい
逢いに行けども相容れぬ
藍に染まった肺の破れ目

一触即発
溢れているのは

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硝子玉より逸れて幾年
揃いも揃った馬と鹿
滲む絵具で抉り出そうか
溜まりに溜まった空のはらわた

静脈の注射針まで
あと僅か
萌え滾る木々の
支脈は不揃い

誰が為に金は成る
今一度
忌まわしき美徳 吊し上げ
老い先短い 茎を刈り取れ

花開く事は 道理であると
高らかに 朗らかに

我に幸あれ 君に幸あれ

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噛み合わぬ欠片を摘まみ
入れ替わる月
陽は取り拉ぐ

思い描いた貌を結うのか
はたまた
割れた容を組むのか
人知れぬ故
満ち足りぬ 蟻としての図画

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育まれた自我はまた
新たな鼓動に身を委ね
行き渡らない血と夢を
今日の糧とし地を踏み締める

拾い損ねも
芽吹きと成るさ

想像以上の広さには
構造異常の根が付き纏う

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追い詰められた者ばかり
角地へ集まり
束の間の陽に酔いしれる

次が無くとも釘はあるさ
金槌は刻む 軌跡の音を
相槌と絡む
鬼籍の意図を察する様に

打ち付けた翅は大きく広がり
朽ち果てた撥条は小さく萎む
いつもより高く翔べたらいいね
窮屈な箱が何故だか愛しい

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