2017年01月不完全きのこ

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知を別つ差異

2017年の詩

知を別つ差異

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草臥れた肺を満たすのは
血を分けた胚
知を別つ差異
咳き込む間も無く

浸かりきった音だけさ
戸を叩くのは
喪に服すのは

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2017.01.22 ▲

刻まれた額面

まだ見ぬ姿を描くほど
今在る素顔は何も成せない
取り合った手も
獲り合った手も
撮り合った事実の前に
腸を抜かれて
綿を詰まらす他にない

刻まれた額面へ
誰か答えを
誰も応える意思がなくとも
誰もが堪え縊死を選べど

RETURN▲

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2017.01.21 ▲

芯と絢

腰まで到る芯と絢
笛に列なる鴨を後目に
澄んだ夜風と混じりあう

暗がりは紡ぐ
黙々と

潰れた匂いに
噎せ返るまで

RETURN▲

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2017.01.20 ▲

圏外観測

重みを忘れた長椅子に
誰が腰など据えようか

言葉を忘れた閑古鳥
主をなくした人の影
笑顔が先だ
声は向かって来なくとも

RETURN▲

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2017.01.19 ▲

熟れた不実

削ぎ落とせない面の皮
張り付いたのは
過去の代償

転がる果実は腐るのみ
然れど不実は
たわわに熟れる

RETURN▲

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2017.01.18 ▲

柱を境に

伸び上がった先の未来に
持ち越す影はもう居ない
目が覚めて今を知り
カラスと一緒に鳴くだけさ

縮こまれ陽を浴びて
電信柱を過ぎない様に

RETURN▲

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2017.01.18 ▲

天を掻く

人知れず藪に鎮座する
囲われた窓
片割れの的

狙い澄ました一石は
元の軌道へは戻れない

底冷えた脚だ
天を掻くのは

RETURN▲

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2017.01.16 ▲

染み出した予後

締め上げた頸に昇る太陽
頂は疾うに蛻の殻さ

見渡せば傘が欠けている
そんな事実に気付かぬ侭に
食み出した午後
染み出した予後

RETURN▲

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2017.01.15 ▲

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