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電信柱を目印に
数多の影が
路地へと消えた

小さくなってゆく背中
大きくなってゆく日中

カラスが袋をつつく音

ペンキの剥げた
噛み合わぬ戯具

「誰も手入れをしないのね」

ため息混じりの暮れの広場は
鎌首もたげた虫の視線に晒されている

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艶やかな鰭をたなびかせ
生まれた言葉は誰のもの

オーロラが肌を裂いてゆく
留まり続ける事を嫌って

「日没へ何を願ったの？」

地平線には
張り出した殻

茹だるクチクラ

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虫食いだらけ
手紙にすがる
俗物のさが

雨を避け木々を縫う
胃袋はもう知っているのさ
底の浅さを

深みに落ちた文字だから
ひざを抱えて居るのかな

樹液の色は何色だ

せみのぬけがら
節穴の目に卵を湛えて

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一つ一つを結い上げて
あなたは光を宿してく

思いはいつから息づいて
わたしのそばにあったのか

はじめましてとさようなら
臨模が見た夢

君の結晶

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不適切な箱庭に
一繋ぎの綿がひしめく

虹はただただ美しい
けれど触れれば
爛れてしまうわ

むき出しの骨が軋むたび
焦がれた記憶が
視野をかすめた

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甘くもなければ
渋くもない
土まんじゅうは
まだ膨れてる

「明日は平らになるのかな」

傍らの声に
「さあ」　と呟く

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もうこれ以上ないほど
吊り上がり
魚眼レンズは
絵を閉じ込める

泥に沈んで泣いた夜に
大輪の花
麝香のさざめき

覆いかぶされ
陽が昇る間に

尾をつなぐ間に

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むず痒い心はとうに
嘘を融かして
踏み抜いた足へ
頭を垂れる

「汚れた服じゃ失礼ね」
はにかみながら
参道を行く

あぶくが天を焦がすのは
道理であって
動機じゃないのさ

慈しむべきはそのしるし
弱弱しくも鳥居をくぐる

鎮まる境内

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