2023年01月不完全きのこ

影の深み

光輪が天に尾を引いて
隣り合わせの宙を行き交う
降臨するのはどの箱か
揉み合う信仰
噛み合う均衡
組まれたその根は円状
積まれた功徳は環状
火球の雨を跳ね除けながら
眩い笑顔で照らしているよ
外枠の影を育みながら

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2023.01.31 ▲

混ぜる彼者誰

混ぜる彼者誰

A red windmill as far as the eye can see A bleak stone riverbed in the fog Oil painting3

焼き払われた雲に届かぬ
嘘吐きたちのプロペラが
混ぜるは彼者誰
爆ぜるは朝霧
鏡写しの葉見ず花見ず
未だ曖昧
苛立つ秒針
いとも容易く陽はまた昇り
陽はまた沈む

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2023.01.30 ▲

空き地の視線

空き地の視線

A closed village in Japan, blood spray, silver grass swaying in the dead of night5

何ら変わらぬ営みが
また押し寄せて
また過ぎて行く
薄の揺らぎが運んでいるのさ
この景色ごと
数軒先より灯りが零れ
掃き出し窓には血が滲む

枝垂れた眠りだ
押し付けられた線から面へ
槿花色した焦燥が
捲れて爛れて広がって行く
空き地には既に誰も居ないが
誰かの視線はまだ生きている

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2023.01.29 ▲

滲む天蓋

昼か夜かも定まらず
畳と共に綻びる日々
障子の向こうに
誰が居ようが何をしようが
構いはしないさ
この壁蝨と共に老いて行き
あの荼毘と共に置いて逝く

そうさお前は
蛍光灯の揺らぎに寄り添う
天蓋被った下手人だ
布団の中で腹を割ろうが
皺寄せで顔を真っ赤に腫らした

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2023.01.28 ▲

収穫災

収穫災

Crushed fruit and syringes Dimly lit underground walking space3

手に余る程の実りを前に
堪らず逃げ込む床下の蔵
ああ住み慣れた家が
潰れて行く
汁を流して身を善がらせて

打ちっぱなしさ
壁も心も
罅から染み入る甘い香りも
饐えた匂いに変わってしまう
間を置かず
他を寄せ付けず

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2023.01.27 ▲

星を放り出す

大きな瞳で照らしているよ
今はあちらを向いてるけれど
年が明ければ戻ってくるさ
ぐるりぐるりと
円を描いて赤みを増して
筋を境に
星を放り出すものだから
僕らの子供はまた拗ねている
また間引かれる

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2023.01.26 ▲

白骨の息

白骨の息

Dimly lit forest animal trail, decaying human bones,1

土へと還る事はない
この先もずっと
これまでもずっと

肉を纏わぬ程の決意で
節から節へ瘤から瘤へと
臥した支えを鼓舞して幾年
誰一人としてまみえることなく
伸びては折れて腫れては砕けて
分岐しながら根と絡み合う

その骨はずっと生きていた
白日のもとへ
曝け出される遥か前から

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2023.01.25 ▲

空穴

2023年の詩

空穴

Hidden room in underground passageway, swarm of rats　oil paint3

一点が広がり音が止む
俯瞰した先
新たな穴へと転がり込もうと
進む他なく包むことなく
戻ることない共感見下ろし
言い訳拵えた
鼠の瞳に夜を重ねる

ここにはきっと何もない
飽いた心が
空いた所に移ろうだけだ

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