五月忌み
月の端、
牛の五行に祝を籠めて

穢れ纏った天児(あまがつ)は
縊った柱に雲隠る。

梅雨の晴れ間の五月晴れ
ひらひらと
棚引く尾鰭を翻し
青空孕むは五色の幟。

殺めても 殺めても
戻らぬ眼のため池にゃ
蝗(あかむし)蠢蠢(しゅんしゅん)蠢いて。

苗枯れた
淋しい田んぼの片隅に
咲くのは菖蒲(あやめ)か燕子花(かきつばた)

祓いの後の静けさに
三の年月 寄添えぬ
未熟な這子(ほうこ)は涙を零す。

合せ鏡は延々と
刈られた菖蒲(あやめ)を映し出し
紫色の生首は
終わる事無く連なって。

菖蒲(あやめ)は殺めと咲き誇り
願う童の健やかな
眼に鬼を宿らせて。
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2008.04.29