原腸陥入
水底に
沈む落ち葉をこそぎ取る
転(まろ)ぶ黒円 白む膜

雨はまだ降りそうに無いから
日が暮れぬうち
ゆっくり ゆっくり 崩さぬように
その面影に刃を入れるんだ。

2つに割れたその視野は
虚構連鎖を繰り返し
まだ届かないその夢に
新たな亀裂を孕ませている。

虚しさを知る度
僕は僕に嘘を付き
剥れて落ちる ペンキの屑を
甘い砂糖に変えてゆく。

最も古い屋外広告は
仰々しくも高らかな論調で
木々の隙間の綻びに
練りたてのコンクリートを
流し込むよう 呼びかけながら
病気になった 家畜の群れに
自浄作用の構築を求めている。

此処を覆う
白い膜さえ白々しく
ようやく現実を直視する頃、
宇宙は膨張を緩め
一時も止む事の無い開閉活動は
原腸陥入を引き起こし
過去も未来も現在も
広がりすら失いながら
もう、何処へ往く事も無い暗闇へ
この思考を囚われるのだろう。
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2008.05.19