ささくれの鉄籠
温かなママの胸に抱かれ、君は生まれた。
優しく包むお日様の光に火照らされ
小さな小さな身体を伸ばす。

ぽかぽかふかふかの毛皮に顔を埋め
夏の香りをおもいきり吸い込む。

…もう、帰ることはない優しい想いで。

温かなママの胸は裂かれ、君は売られた。
怪しく包むネオンの光に火照らされ
小さな小さな身体を震わす。

値札の君は鉄の籠。
柔らかなその身を溶かし大空を夢見る。

撓かなムチに背を打たれ、君は生まれた。
喧しく叫ぶお客様の瞳に火照らされ
大きな大きな身体を伸ばす。

家畜の君は鉄の籠。
誇らしいその血を汚し大空を夢見る。

ささくれた鉄の籠より滲む
どろどろと生臭い泡血を爛れた舌で舐めとる。

幾重も重ねた偽りの日々。

家畜の君は鉄の籠。
誇らしいその血は目覚め大空を夢見る。

驕ったヒトを噛み殺し、君は撃たれた。
華やかに照らすスポットライトに火照らされ
大きな大きな身体は崩れた。

からっぽの鉄の籠。
傷ついたその身を離れ大空へと旅立つ。
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2006.06.06