影朽ち
目を瞑っていれば
やがて朝が来るよと
柔らかな
その言葉を噛み締めながら
暗い暗い土の中
甘い甘い樹液を啜り
夢心地で巡る夜。

少しばかり
明るい場所に設けられた
賑やかな舞台にて
スポットライトを浴びる拡声器は
暗い暗い口の中
苦い苦い唾液を啜り
夢現を縊る夜。

夜間は外出禁止です

一方的に告げるのは
暴力的な伝言者

夢遊病者の足枷は
重みを増して沈んでく。

陽はまた遠ざかり
置き去りにされた影達は
屍骸となって積み上がる。

(今宵もまた深みを増す)

目を瞑っていても
やはり朝は来ないのだと
朗らかな
その言葉を踏み付けながら
暗い暗い土の中
甘い甘い樹液を啜り
夢心地で巡る夜。

視床下部へと流れ込む
高濃度の無力感は
調教済みの
大脳皮質のスクリーンに
今日もまた、
明けない夜を映してる。
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2008.07.31