無添加
寂れた道を歩くのは
賑わう場所に在る為に。

黒一色の景色の中
風が辺りを掻き撫でて
茂った音色を響かせる。

姿の見えない奏者たち
誰かの為などありはせず
己が為に掻き鳴らす。

涼しげに触れて
怪かしく踏みしめる靴音に
一面の不確かな気配が耳を澄ます。

拓けた場所
頂の石碑
艶やかな草の感触。

終りが眠り土に返る場所で
静かに息を殺しながら
ただ、高く高く空を仰ぐ。

遮るものも無い視界には
星 星 星…。

ここに居るのは一人。
雑念など及ばぬ
宇宙の中心。
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2008.08.25