残存浮力に暮れて
流木の辿り着く河原に
今年も青い花が咲く。

汽笛
汽笛
汽笛

反響するその声に
呼びかけては俯いて
列橋の一番隅っこで震えている
臆病な犬の心臓に発砲!

焼け焦げた躍動に
四六時中引き回される忠実な義務感は
1時
2時
3時…、
苛まれ
袖を捲り
顕になった腕の腹に
鉄針を突き立てる!



花の香り…、

暖かな空気にうとうとと
仰向けになり口笛を…、

赤い
赤い場所…、

逆上せて
もう思考も巡らない。

木筒と木筒の進攻に
柔らかな膜は平伏して
"ぷちゅっ"と井戸水湧き上がらせれば
僕の腕は丸裸

水上に揺らめく
幾千もの光の糸に
浮き上がる度に近付いてゆく。

浮くのは一瞬
昇るのは幾歳

変らない川の流れに
僕の顔も身体も
膨張し
青ざめてしまった。
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2008.09.07