唯一者とその所有
ボルトと頭骨の繋ぎ目に
拙い言葉を投げかけて
昨日見た夢の続きを重ねながら
緩まない君の表情に
僅かばかりの倦怠

柔らかな傷口は熟し
左右に行き交う僕の思いは
いつまでもいつまでも
同じ場所に止まり続けている

赤く滲んだ繊維は
幾重にも橋を渡し
嘯きながらも
肉と肉の鬩ぎ合いに
幾許ばかりかの
愛しさを実らせてゆく

節々をバタつかせ
腹卵葉と胸部腹面の隙間から
瓜二つな等脚が這い出す時、
僕は産声すら上げぬ
成熟した群れ群れの中で
適度な湿気を追い求めるだけの
軟弱な甲殻を有した
利他的な唯一者となるのだ。
関連記事

2009.02.20