啓蟄
乱れきった空の下
いつまでも
訪れる事のない
春の情景を夢見ながら
重く湿った雪に
体温を奪われている

浮かれた気分で
心地良さに欠伸する
剥き出しのアスファルトを
踏みしめるものは
這い出る虫の歓びすら
分かち合う事も出来まい。

融けてしまえ
消えてしまえ
排水溝に喰いつきながら
何処か私の目の届かぬところへと

節々をざわつかせ
また陽の下で
君の糸に囚われながら
退屈な日々に
喰い尽される事を望むのは
未完である故の
相対的な展望

凍えながら
ふわりふわり
昇ってみせよう

二度とその
軽薄な笑みを
浮かべる事が出来ぬように。
関連記事

2009.03.14