並行する蓋の上から
乾いた音で跳ねてゆく
地平線の彼方まで線を引く
消火栓の生え連なるビルの谷間で
僕は三つ目のそれをみた

忙しない燻みを吐き散らし
左右対称に往来する
板金仕立ての鉄の籠と
不釣合いな同調に組み込まれながら
枝分かれした顔の根元から
照り付ける
大気の揺らぎを見据え

押し込まれた2つの脳で
飾り気の無い光景を
じりじり
じりじり焼き付けてゆく

じりじり
じりじり焼き付けられて
暴発

噴き出した汁が焦げ付く頃
いつまでも
収まり切る事の無い
健常という違和感は
側溝のさらに端にある
パイプを伝りくたびれてゆく

動く度に
息をする度に
神経が知覚が
ぼろぼろと
ぼんやりと崩れはじめる

隅のほうへ
隅のほうへと
追いやって欲しかったのかも
知れないな、僕は

同じ時間に
同じ街で
同じ人として
同じ事を繰り返す

不毛で無様な
並行する蓋の上の
この有様を。
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2009.03.30