Scum & Sludge
満たされない想いを溜め込んでいる内に
閉園のメロディーが流れてきた

檻の中のうさぎ
箱の中のとかげ
着ぐるみの中のおとこ

植え込みの傍では
砂に塗れた飴玉を
沢山のありの群れが囲んでいる

茜色に染まってゆく空が
まるで血の海に溺れてゆく
切り込みの入った咽笛みたいに
がぼがぼと悶える様を見て
ふしあなさんの影法師が
ゆったりゆったり
お客さんの帰った
淋しい売店の方へと伸びてゆく

真っ白な椅子と
真っ白な円いテーブル

ねずみ捕りは
僕の口を捻り潰す

空腹と怠惰
そして無気力

逆さまのアイスクリームは
怪訝そうな面持ちで
青白い蛍光灯の光に照らされている

叩きつけられ
欠けてしまったコーンのカケラは
僕の焦燥感に侵食され
ぶよぶよに膨れてしまった

置いてかないで
置いてかないで

余計なものだけが
集まってくる

愛しさだけが
遠退いてゆく

老いてかないで
老いてかないで
置き去りにして老いてかないで

愛しさだけが
荒んでゆく

醜さだけが
積もってゆく。
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2009.04.04