なすがまま
馬鹿が走った
12回目のベルの音
何をそんなに慌てているのか
玄関のドアを開けるや否や
真っ先に駆け出した

3段目の階段に
足をかけるのとほぼ同時に
けたたましい音は費え
慌しい踵の残響だけが木魂している

おやおや、第二頚椎が見当たりませんね
第一波目の衝撃から
大事なグラスを護っても
第二波目の円錐形の自己保身に
内側から亀裂が生じてゆく

おかしいな
動けない

窓から見える八方塞の電柱が
いつもの様に
天を睨み
佇んでいるというのに…

黄土色に染まった空に
押し潰されてしまいそうで
ぼくの内側では
何かが逃げて行こうと
躍起になって
皮膚をびんびんと突き上げている

不本意だけど
それも仕方が無い事なのかも知れない

この場所で
あるがままに生きるなど
既にあるがままではないのだから

なすがまま
なすがままに
あるがままに
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2009.04.09