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毬藻
色付き始めた純朴と
求めても得る事の出来ない
あの日のままの
堅実で正確なる鼓動
貪欲なまでの
口腔の開閉に促され
一斉になだれ込む
嗚呼
鉄砲水だ
甲高い微震が生じ
激しく回りだすこの世界に
繋がれ
縛られ続ける
理由も解せぬままに
熱も
思考も
何処か別の街へと
遠退いてゆく
灯を持たぬまま
日の暮れた
木々の隙間を
掻い潜ってきたのは
自らの意思を
明確に知覚するため
生き物の様に
わらわらと隙間に群がる
不確かな暗闇と戯れる内に
どこからが私で
どこからが私以外なのか
区別することすら適わなくなり
いつの間にか生じていた
窪みに足を取られ
転落してしまったのだ
私が踏みしめてきた柔らかな足場は
施行された掘削により窪地と化し
善なる意によって流し込まれる
純粋で滑らかな
セメントより生じたコンクリートによって
堅く堅く塗り固められた
様々な思惑や疑心が止め処なく渦巻く
溜め池となっていた
冷たく覆い被さっていた
捻くれた季節の残骸は
固体から液体へと姿を変えながら
枝分かれを繰り返しつつも
結局は同じ辻へと
流れ着いてしまうのだろうか
延々と地平の彼方まで刻まれた
用水路の深さは計り知れず
底を見ることも知覚することも
不可能であるかの様に思えてくる
酸素欠乏
暖かな光が差し込み
酸素が充満するその場所で
肺の機能を犯されながら
結局は私も他の者たちと
それほど変らぬ道を歩いて来たのだと
分散してゆく意識の中で
感じ取っていたのでしょう
緑、緑、緑、
見渡す限り緑、
視界も思考も、この身体さえも
水澄ましが
浮上しては旋廻し
真っ黒な緑の中へと
再び沈んでゆく光景を
横目に眺めながら
私の残骸も
日に日に丸みを帯び
寒天質に覆われた
集団を形成してゆく
緑、緑、緑、
見渡す限りの緑、
視界も思考も、この身体さえも
どこからが私で
どこからが私以外なのか
区別することすら適わない
浮力と真正細菌に包まれ
何処か遠いようで近い場所に
ぷかぷか、
ぷかぷか浮かんでいる
まあるい、
まあるい藻の塊が
恐らく私が私だと
知覚していたものなのでしょう
緑、緑、緑、
見渡す限りの緑
私は毬藻
見渡す限りの緑の一部。
求めても得る事の出来ない
あの日のままの
堅実で正確なる鼓動
貪欲なまでの
口腔の開閉に促され
一斉になだれ込む
嗚呼
鉄砲水だ
甲高い微震が生じ
激しく回りだすこの世界に
繋がれ
縛られ続ける
理由も解せぬままに
熱も
思考も
何処か別の街へと
遠退いてゆく
灯を持たぬまま
日の暮れた
木々の隙間を
掻い潜ってきたのは
自らの意思を
明確に知覚するため
生き物の様に
わらわらと隙間に群がる
不確かな暗闇と戯れる内に
どこからが私で
どこからが私以外なのか
区別することすら適わなくなり
いつの間にか生じていた
窪みに足を取られ
転落してしまったのだ
私が踏みしめてきた柔らかな足場は
施行された掘削により窪地と化し
善なる意によって流し込まれる
純粋で滑らかな
セメントより生じたコンクリートによって
堅く堅く塗り固められた
様々な思惑や疑心が止め処なく渦巻く
溜め池となっていた
冷たく覆い被さっていた
捻くれた季節の残骸は
固体から液体へと姿を変えながら
枝分かれを繰り返しつつも
結局は同じ辻へと
流れ着いてしまうのだろうか
延々と地平の彼方まで刻まれた
用水路の深さは計り知れず
底を見ることも知覚することも
不可能であるかの様に思えてくる
酸素欠乏
暖かな光が差し込み
酸素が充満するその場所で
肺の機能を犯されながら
結局は私も他の者たちと
それほど変らぬ道を歩いて来たのだと
分散してゆく意識の中で
感じ取っていたのでしょう
緑、緑、緑、
見渡す限り緑、
視界も思考も、この身体さえも
水澄ましが
浮上しては旋廻し
真っ黒な緑の中へと
再び沈んでゆく光景を
横目に眺めながら
私の残骸も
日に日に丸みを帯び
寒天質に覆われた
集団を形成してゆく
緑、緑、緑、
見渡す限りの緑、
視界も思考も、この身体さえも
どこからが私で
どこからが私以外なのか
区別することすら適わない
浮力と真正細菌に包まれ
何処か遠いようで近い場所に
ぷかぷか、
ぷかぷか浮かんでいる
まあるい、
まあるい藻の塊が
恐らく私が私だと
知覚していたものなのでしょう
緑、緑、緑、
見渡す限りの緑
私は毬藻
見渡す限りの緑の一部。
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2009.05.28 ▲
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