腐れ桜
水たまりの中には
色取り取りの
未練と怒りが満ちている

日の暮れと共に
苦苦とした憎しみが込み上げ
水面に揺れる殺意へと綴られた
呪詛と真言、
その他諸々の希望たちが
叶わぬ夢を重ね始める

死ね
○ ● ●
/  / 死ぬ
●  ○
白装束が織り成す葛藤
垂れ流される排泄物

殺される事も
殺す事も
その末路も
全ては残留する思いとなって
引き寄せられ
混ざり合い絡み合い
見分けすらも付かない程に
醜く膨れ上がってゆく

患者が死んで
患部が腐り   ●
  ○
雨音がしとしと揺蕩う

月明かりも遠退き
暗い森は黒く黒く
黒一色の装いで首を垂れた

慰める言葉も無く
解決の糸口も見出せず
傷口を広げ合うだけの因果に
絶望を見出すだけの無能な存在

謝らなくていいよ
私はあなたを許さないから

ふらふらと
今日もまた一人
積み重なる

大きな桜の根元には
縋る様に、泣き付く様に
実体の無い死体が
いつまでも腐乱している
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2010.03.21