宵よ、朱に染まれ
快適で幸福
最適で増幅

見開かれた瞳の先の
見捨てられた心拍

砂埃あげる群集
砂ばかり齧る晩秋

巡り巡り
ぐさりぐさり
腐り草に下る楔
臭い管に薬喰らう

グラついた視野が
ザラついた通夜を見据え
バラついた不夜に縋る

鈍に駆られ
首を刈られ
旅は枯れ果て
無常の中に無明を観る

追い争えて
老いさらばえて
負い群がる後悔と
二度と届かない愛おしさに塗れ
カセットテープに乗る
ノイズ達は
セメントの中より
嗚咽を漏らし
今日も日付が替わる

「宵よ、朱に染まれ」

消え入りそうな声が
壁面から零れる

誰かの血で滲む靴は
軽快なステップと共に
好い夜明けに
染まる
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2010.05.05