餌箱と妙薬
法的な拘束から逃れ
てらてらと輝く電球より覗く
執拗な視線へと我が身を晒け出す

合法的な処方薬は
魅惑的な暇潰し

依存し癒着し
惰性の侭に時を消費してゆく

新しい回路は
まだ生まれない

澱んだ色素が沈殿し
シミが視力すらも奪ってゆくのだ

しがみ付き
痛んだ身体を
何度も何度も擦り減らす

騙し騙し
取り繕った声色で
笑っている

欺く事に
欺かれる事に
慣れ過ぎて

気が付けば
座標の定義すらも
見失っていた

飼い慣らされている事だけが
執拗に執拗に
脳裏へと押し寄せる

都合により除外された
第三第四の溝が
この閉塞感から開放するに足る
妙薬と為り得る事を知覚しながら
毟り取られる恐怖に屈した僕は
ゲロ臭い餌箱へと首を伸ばし
虚ろな瞳のまま
唾液で湿気った食べカスを
べろべろとこそぎ取り
おかわりをねだるだけの
畜生以下の存在へと成り果てていた
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2010.10.09