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天嘔切開
無風の地
鳥のさえずりが
錆付いたプラグの溝に巻き込まれ
からからと
重たい空を抱える
聴診器を伝い
僕の体に流れ込んでくる
数多の菌類に彩られた石の鼓動
緑青色に染まった
手漕ぎボートがきしきしと手招きし
眠たい瞳の三毛猫が
鉛筆削りで整えた前足を器用に使い
軽快な筆・・・もとい、足運びで
色紙にサインを書き殴ってゆく
池の前の喫茶店では
真っ白な領収書と冷めたコーヒーが
動きを止めた客人とカウンターの間を
右往左往と落ち着き無く行き来し
流れる様に記されてゆく文字の軌跡と
引き締まった太股に欲情し
如何わしい妄想を膨張させている
分類された茎と笠は
ヤゴの舐めたティースプーンで
すり潰され口内へと運ばれてゆく
許容量の限界を迎えた空が
青ざめた表情で
洗面器に括られた
コンビニのポリ袋を凝視し
逆流せんとする衝動に蹂躙され
誰かの子を孕んでしまった
また明日の空が拝めるのか
紙の空に挿げ替わるのか
はたまた、
粥状に崩れゴミ箱行きか・・・
迷走する空模様が
消失点すら胃液で満たし
鼻を突く酸っぱい香りが
僕らの街を蔽ってゆく
ああ、
いかんいかん
溶解する風景
6寸の刃
赤い線が
ぽっこり膨れた空へと走ってゆく
吸引される嗅覚、味覚
圧迫される視覚、触覚
聴覚だけが
自我とこの場所を繋ぎ留め
秒針の音へと連なってゆく
げろげろと喚く何かが
どちゃっ!と弾け、
清清しい風が薄を撫ぜる
暖かな喫茶店
温かなコーヒーの湯気
唇に触れ
嗅覚を満たし
窓の外の三毛猫が眠たそうに顔を擦る
真っ赤に染まった夕焼け空を
池は優しく抱き寄せて
アキアカネの群生と共に
冷えた心は火照らされてゆく
鳥のさえずりが
錆付いたプラグの溝に巻き込まれ
からからと
重たい空を抱える
聴診器を伝い
僕の体に流れ込んでくる
数多の菌類に彩られた石の鼓動
緑青色に染まった
手漕ぎボートがきしきしと手招きし
眠たい瞳の三毛猫が
鉛筆削りで整えた前足を器用に使い
軽快な筆・・・もとい、足運びで
色紙にサインを書き殴ってゆく
池の前の喫茶店では
真っ白な領収書と冷めたコーヒーが
動きを止めた客人とカウンターの間を
右往左往と落ち着き無く行き来し
流れる様に記されてゆく文字の軌跡と
引き締まった太股に欲情し
如何わしい妄想を膨張させている
分類された茎と笠は
ヤゴの舐めたティースプーンで
すり潰され口内へと運ばれてゆく
許容量の限界を迎えた空が
青ざめた表情で
洗面器に括られた
コンビニのポリ袋を凝視し
逆流せんとする衝動に蹂躙され
誰かの子を孕んでしまった
また明日の空が拝めるのか
紙の空に挿げ替わるのか
はたまた、
粥状に崩れゴミ箱行きか・・・
迷走する空模様が
消失点すら胃液で満たし
鼻を突く酸っぱい香りが
僕らの街を蔽ってゆく
ああ、
いかんいかん
溶解する風景
6寸の刃
赤い線が
ぽっこり膨れた空へと走ってゆく
吸引される嗅覚、味覚
圧迫される視覚、触覚
聴覚だけが
自我とこの場所を繋ぎ留め
秒針の音へと連なってゆく
げろげろと喚く何かが
どちゃっ!と弾け、
清清しい風が薄を撫ぜる
暖かな喫茶店
温かなコーヒーの湯気
唇に触れ
嗅覚を満たし
窓の外の三毛猫が眠たそうに顔を擦る
真っ赤に染まった夕焼け空を
池は優しく抱き寄せて
アキアカネの群生と共に
冷えた心は火照らされてゆく
2010.10.14 ▲
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