蝿の翅
限られた許容量の中に組み込まれた
街並みと営み
青白さの内側で繰り返される
前進する手段たるねじ巻き行為に
全身を取拉がれながら
善心という概念を擦り減らして焙煎された
香り豊かな珈琲に
無為な妄想を蕩かしてみる

心の平安などに縋ってみても
見上げる空はいつも円形

絞りたての幸福も
直ぐに混じって何処か遠くへ去ってしまう

産み付けられたこの場所で
肉を喰らい肉を喰らい肉を喰らう繰り返しだけが
混じり気の無い現実として
重たく理想の上へと覆い被さる

新鮮なこの土地も
やがては侵食され悪臭の渦の中
崩れ落ちる

結局僕は
答えを何も出せないまま
蛹となり膜を破り
不確かな自我で織り込んだ翅を
バタつかせながら
これまでもこれからも
煌びやかな蜃気楼へと集り続けるのであろう
関連記事

2011.04.19