えにし
冷えた消えた
泡の暮れに
頼りなさ気な蝉の憧景

佇む人は
傅く事の意味すら淡く
無くし物追い掠めて過ぎる

無駄な事だと囃されて
風吹く丘から身を投げた
一途な言葉は杜若

水張りささめく季節の折に
無明と戯る根無しの綿毛
月の満ち欠け 辿る蛆虫

饐えた萎えた
薊の棘に
飾り惜し気な魑魅の憧景

蔑む人は
俯く事の意義すら浅く
亡くし者追い掠めて過ぎる

慈愛求めて 巡る命よ
自愛絡めて 浸る縁(えにし)よ。
関連記事

2011.06.14