綿と腸
例えばそれは
ぽっかりと空いた空洞の様に
すっかりと欠いた能動を溜め込み
不誠実な臭気と共に
新しい夜明けの陰で渦巻いていた

使い込まれたボロ雑巾が
汚水を吸い、
その身を潤さんと欲する度に
夢見がちな君のアタマは
減数分裂を繰り返し
新たな窓を構築してゆく

ガラス張りの
路地とヒビ割れ、ボタンの瞳
ぴちゃんぴちゃんと雨が降る
ぴちょんぴちょんと雨が漏る
雨に歌うは夢か現か、はたまた詩(うた)か
大狂言の幕が開く!
大脳皮質の膜が開く!
大脳葉が捲し立て、布地に赤い血が滲む

ブルーシートに包まれた
遺体が僕のものであろうとも、
(君のものであろうとも)
灯(ともしび)は
相も変らず継承されて
消失点へと連なってゆく

糸の解れたぬいぐるみ
多様化極む配偶子と変拍子、
抉り出された綿と腸、
引き摺られて絆されて
消失点へと連なってゆく
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2012.05.18


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