土着
常世の長鳴き鶏が
重苦しい黒と目蓋の隙間へと
煌びやかな朝を敷き詰め
僕はまたこの場所で
今日を送らねばならぬ事に
諦めにも似た慄きを覚える

蜘蛛の巣状の廊下には
僕の部屋も家族の部屋も
みんな纏めて絡まって
毎日毎日、同じ事を繰り返すのだ

幾度と無く
繰り返されてきたかの様な
錯覚とも現実とも交えぬ
新しい一日の始まりに
僕らはすっかり慣れきってしまい
座敷牢の様な家の中
永遠の営みを継続させてゆく

敷地の中には木々の壁
敷地の外では野辺の煙
内から外は窺えず
外から内へは伺えぬ
地縛に満ちたこの僻地
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2012.05.21


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