春散
凍える様な水の底。

暖かな光を目指し浮かび上がり
ブラインドを開く。

燦燦と照らす日差しと春の香り。
混じる耳鳴り。


にわとりがやってくるよ。

幼いみみずたちは
ぼくの鼓膜の横で怯えながら呟く。

光が怖いのは 照らされて消えてしまうから。

風に吹かれ美しく散る花びらは
華やかな面影を抱いたまま
白黒のブラウン管の中 焼きつく。
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2007.04.06