圧縮された夜
自宅へと帰る途中
撥ねられた猫の死体を見つけた

ざあざあと降り注ぐ金平糖が
男の子の小さな掌へと吸い込まれ
指肉を咀嚼するバッタの腹を
時針が流れてゆく様な正確さで
じりじりと締め上げてゆく

靴の裏の溝に詰まった土の中
あざとくも咲いた彼岸花
ガランタミンが涙を流し
足の裏へと根を張ってゆく

着色料にコチニール
整髪料にマンチカン
ぬくぬく馴染んだタイヤの轍は
何処へと帰って行くのだろう

お尻から茶色い液が
赤茶の液が黒い液が滲み出て
ポケットの中で夜が弾ける
ソケットの中で朝が挫ける
圧縮されて遠のいてゆく
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2012.06.06


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