Chaotic Hardcore
積み上げられたCDケースの重量が
踏み散らかされた稚拙で侘しい新聞紙の散乱に
睨みを利かせる、とある炎陽の日の午後、
労働者たる蟻の事後、
ビジネス街の喧騒を叩き割る
ただ一抹の音の揚力

交差点から解放されたタクシーが
ツインタワーに囚われて
縮まる事の無くなった討論から会議室への距離に
脱力感と焦燥感とが入り混じった
沼の底から吹き出るようなガテラルボイスで呼応する

瓦礫の崩れない秒針
枯れ木を埋めない病身
信号機の乱反射、乾燥機の熱暴走
ポリカーボネートの回転
位相差から転げ落ちたシュレディンガーの猫
生死を問うのは重なり合う身体と身体
揺り篭の中でまどろむ優しい思い出が酌み交わす
酒と心象、友の群像、ヘテロの崩壊
100倍速の空に脈打つ色の暴力、
網膜を焼き切る様な原色のテロリズムが
蝸牛を揺さぶり組曲となって展開される感動に
僕はただオーディオの前に張り付き
打ちひしがれる事しかできなかった
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2012.06.07


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