溝山の一夜
つるつる頭の隣人が
電球吊るして呆けてる
横目に過ぎ去る夕暮れが
真っ赤なその顔滲ませながら
草臥れ案山子を焼いてゆく

電気も通わぬ山小屋の
窓辺に揺れるてるてるぼうず
かえるの声が燃えてゆく
孵る卵に血が滲む
代える者さえ還らぬ場所で
変える喜び耐える哀しみ

どぶのなかでびちびちおどる
たんきゃくもくのぶとうかい
あかりのきえたばんさんかいで
すべてとまじわりとけてゆく

取り残された吹き溜まり
喰い残された弾き語り
夜明けと共に何処へ流れる
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2012.06.13


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