翡翠の小箱
緑色の壁を殴り付け
食事も咽を通らない
快晴の空から生じた亀裂に
両手の指を滑らせる卑劣

誰も笑えない陽差し
誰も抗えない名指し
押し広げてゆく終戦の烙印
成し遂げてゆく情宣の調印

ひび割れの奧の地下通路
螺旋階段 早足で
空き缶 咥えた 山羊の瞳へ

缶切りは 何処かの夕日の中
開いた頭に 蹄を詰めて
一色だけの 四角い小部屋
帰る事ない 靴の音
小箱の外を彷徨い続ける
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2012.06.29


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