誰そ彼は?
満開の桜 幹に縋る蟲たち
大きな大きな鳥居を潜り 向かうは深い山の中
木の葉の影から 鴉が覗く。

参道参拝じぐざぐじぐざぐ…

鳥居を抜ければ灯篭連なる石畳
薔薇の花束 小脇にそっと握りしめ
てくてくつらつら足どり弾む。
木々の影から 松蝉鳴いた。

山道参拝じぐざぐじぐざぐ…
連つらと 連なる鳥居 目目連。

頭上を覆うは 緑陰の光。
貴女の御家はまだですか?

すっかりとっぷり日も暮れて
お日様ゆらゆら黄昏刻。

誰そ彼は? 誰そ彼は?
寂れた古い祠の陰から 延びる小さな影法師。
愛しい貴女の影法師。
道は開けた。
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2007.05.07