蟲毒の太陽
石の窪みに刃を立てて
ここに木の実を埋めよう
裏山の腐葉土を
この空白に敷き詰めて
誰も帰らぬ旅路の果てに
胸の鼓動を刻みに行こう

明日からの決意を背負い
増した殻の失意に手負い
完全変態出来ずに寝そべる

最適化されぬ自我
快適化される飢餓
割れた背中の彼岸と悲観が
掻き雑わされて這い出る

芽を出した孤独に
眼を伏せた蟲毒
実った先の俯瞰に
茹だった秋の帰還が
積み重なった
遺体の上に鎮座している

床下から空を睨む
眩し過ぎる陽光が
その目を潰して仕舞わぬ様に

過ぎ行くのは経過であり
過ぎ去るのは罪過である

窪みの中で繁茂する
誰かが育てたこの森に
陽の光は届かない

高揚する紅葉
赤い色素は陽に非ず
張り巡らされたこの血潮
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2012.10.27


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