壁越しの景色
越えられない
壁の下
代えられない
糧の素へと帰属する

奪い取るのは床の間の
腰から上の配電網
畳の上のビー玉数え
爪の隙間で犇く怒号が
高架下の商業施設で跋扈する

殴る探る抉る年の瀬
手繰る潜るも梨の礫か

白雪滲んだ血の熱に
悴む視界も絆されて
縁側目指して駆け出した
猫の背骨に出でし月かも

点々と滴りながら
転々と移ろう
壁の穴へと渦巻きながら
言い訳聞き分け
水を注いで
田螺の殻よりもぎ取った
我が身を苛む虚しさ束ねて
船出の朝へと捧げよう

明日が正しく脈打つ様に
潰した瞳を壁へと塗り込む
もう誰も、壁の向こうを
知る事は無い
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2012.12.04


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