消失点
翳した場所は何処ですか?
平面状の消失点 咲いているもの。

真っ青な雲一つない空
僕の眼と僕の芽。

暖かな陽光の中 鳴り続ける鈴の音は
時折、瑠璃色に波打ちながら 行進を続ける。

そういえば
君と初めて出逢った日も
こんな優しい日差しがつつむ午後でしたね。

トタン仕立ての小屋の上、肌を焦がし 廻る車輪。
隣の屋根で眠る猫は ピン! とヒゲを伸ばしたまま
幸せそうに欠伸する。

そう、それはまるで
此処は楽園なのではと 錯覚を覚える程に
長閑で 安らかなとき。

やがて行進は途絶え 鈴の音は僕の中で微笑む。
「さぁ、 列にお入りなさい。」

玉蜀黍畑の消失点。
優しく僕に呼びかける。




トタン仕立ての小屋の下、 肌を焦がし 廻る車輪。
瓦礫の中で眠る僕は ピン! と腕を伸ばしたまま
苦しそうに痙攣する。

そう、それはまるで
此処は地獄なのではと 錯覚を覚える程に
苦痛で 凄惨なとき。

やがて激痛は途絶え 靴音が僕の中から零れる。
「やっと逢えたね。」

玉蜀黍畑の消失点。
優しく君を抱き寄せる。
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2007.06.03