遊泳禁止
手袋の中にそっと隠した
花の種より罵られ
肺一杯に溜め込んだ
土の匂いへととろけてゆく

春の日を認めた
冬の日の強か
部屋の外で聞き耳を立てる
視野の外で亡き君を捨てる

身軽で気ままな靴の穴
抱きしめられた記憶さえ
氷の粒に股を開く

尻軽な月へ
啓蒙する四季を綴ろう
うさぎを放つ
うなじの真夏へ
じりじりと皮膚を焦がし
ちりちりと畏怖に凍える

福寿草はまだですか

躊躇いがちに尋ねてみたが
皆一様に首を振る
丸い目で、黒い目で

残された根はあと僅か
埋もれた瞳は
新たな芽吹きと向き合えますか

遊泳禁止の空に舞う
凍えた夢へと問い掛ける
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2013.01.04


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