都合のいい首螽斯
壊疽した脚を引き摺って
渋滞気味の市道を横切る
耳鳴りからのクラクション
車体と車体の隙間の忌み者
木立の奧から浮かんで沈み
蒸し暑い日の闇へと融ける

ヘッドライトに照らされた
草葉の陰には湿気ったソファー
革の裂け目に起因する
綿の放蕩、溢れて落ちて

ジーーージーーーと
錆びたテレビの上で弾く
奏者と盲者の主旋律
空き缶踏んで腸が飛び出る

観音開きの硝子戸へ
俯きながら移ろい行くのは
満身創痍の知覚と視覚

舗装された現実に
整頓された商品
並べられた秩序には
蛍光灯の賛辞が揺らめく
お会計はレジの前にて
断頭された
転がる音色は春を深める
俗に塗れる
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2013.01.30


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