啓蟄に死す
打ち付けられた釘剥し
凍て付く土壁 耳添て

春何処
花薫る石陰
敷き詰められた雪 崩し

春が来た
暦の上に猿が居た
頚動脈の袂に集いし
乱痴気騒ぎの夜が来たのだ

真っ暗な箱の中
真っ新なネオンの揺らぎが
真っ青に 真っ青に
真っ白な頭の中を染め上げてゆく

顔を出す
陽気すら溜まらぬこの場所で
這い出て震える
脚の音

明日の意図に流されて
川下へ 川下へ
皮一枚の温もりは
節気の囁き 誑かされて
寒い、寒いと嘆いて消える

雪融けぬ 暦に囃され
往き過ぎる
開けた巣穴に 家畜詰め込み
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2013.03.06


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