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時夜に長鳴く
青白い景色にはまだ
搾り取られた
檸檬の香りが漂っていた
漂流しているのは
何も自分だけではない
小刻みに相槌を打ち
微笑みながら鎌首を擡げる
スーツ姿の初老の男性
バタバタと忙しなく
左右に躰を反転させては
頭上の顔へと媚を売る
黄ばんだ毛玉
小賢しさが天を霞め
街灯が呻き声を上げる
耳元で囁く 木々の戯言
足元で犇めく 日々の痴れ事
靴の中で転がる石
枝の上で拵える意志
皆等しく 愚かであったが
皆等しく 重さを知った隣人である
あいつは土足で部屋に上がり
こいつは姑息に通夜でせしめる
そいつは蛇足な時夜を求めて
電柱に登り 電飾を施す
切り落としては血を浴びて
走り去る 陽が登る
首を失くした 常世の長鳴
ああ 束の間の 朝の灯火
ピクリともせぬ 穴の中
今か今かと 夜は脈打つ
搾り取られた
檸檬の香りが漂っていた
漂流しているのは
何も自分だけではない
小刻みに相槌を打ち
微笑みながら鎌首を擡げる
スーツ姿の初老の男性
バタバタと忙しなく
左右に躰を反転させては
頭上の顔へと媚を売る
黄ばんだ毛玉
小賢しさが天を霞め
街灯が呻き声を上げる
耳元で囁く 木々の戯言
足元で犇めく 日々の痴れ事
靴の中で転がる石
枝の上で拵える意志
皆等しく 愚かであったが
皆等しく 重さを知った隣人である
あいつは土足で部屋に上がり
こいつは姑息に通夜でせしめる
そいつは蛇足な時夜を求めて
電柱に登り 電飾を施す
切り落としては血を浴びて
走り去る 陽が登る
首を失くした 常世の長鳴
ああ 束の間の 朝の灯火
ピクリともせぬ 穴の中
今か今かと 夜は脈打つ
2013.05.10 ▲
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