終末音
覗き見をする壁越しの
黄金の麦に姿態を晒し
午前四時の雲の間寝そべり
醒めぬ惰性の夜明けと交わう

鳥の名前を知らずとも
その囀りは記憶の中に
何処からともなく
其処には間もなく
金属音の入り混じる
咽喉の雷轟
緯度の邂逅
夜空を掻き分け
雪崩れて込み入る

うとうとと
初夏の日差しに埋もれて
あの太陽は遠ざかる
ビルの谷間に微睡んで
人気の失せた歩道を彷徨く

誰一人と話す事無く
錆びたシャッター
拗れた呵責
焦げた路面に のたうつ蚯蚓

明日の朝
明日の朝には

聴き取る事が 出来るだろうか
引き取る事も 叶わぬままに
ただ その身体で 受け止める

静寂の中で鳴り響く
地鳴りの様な この音へ
支脈を透かした 蝌蚪は寄り添う
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2013.06.05


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